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どうも、ワードマイスターのおまろです。
漫画『20世紀少年』には「トモダチ」という絶対的な神が君臨していました。
『大人大戦』の1巻が提示した構造は、それを凌駕する衝撃でした。
「大人けん法」をつくった神・浦島優太郎が、大人の低階級として地べたを這わされる。
この「神を市民に落とす」という設定こそが、本作の真骨頂でした。
期待に胸を膨らませて2巻を最後まで読み終えた今、私は3巻の購入を迷っています。
その理由は、以下の3つです。
- 「不気味な社会」が「ゲームの攻略」に変わった落胆
- 新キャラ登場による、物語の「溜め」の消失とインフレへの予感
- 優太郎の神格化は薄まったが、失われない「言葉の芯」への感動
この記事を読めば、なぜ続きを追うことに踏みとどまっているのか、理由がわかります。
【『大人大戦』2の作品概要】

| 書名 | 『大人大戦』2 |
| 著者名 | 原作:かっぴー 作画:都築真佐秋 |
| 出版社 | 集英社 |
| 発行年 | 2025年9月4日 |
| おいとま充実度 | 2.5 / 5 |
『大人大戦』2巻を読んで、3巻購入を躊躇している理由
漂っていた「不気味な空気」が「ゲーム的な攻略」に変わった落胆
第1巻の魅力は、どこか言葉にできない「気持ち悪い不穏さ」にありました。
犬飼の先輩の不可解な失踪や、監視社会の中で人々が送り合う不気味なサイン。
そうした、理由のわからない「不気味さ」に、もっと長く浸っていたかったのです。
ところが2巻では、物語の主題は「いかに大人階級を上げるか」という、ゲーム的攻略へと舵を切ってしまいました。
2巻にも驚きの展開はありましたが、1巻にあった「背筋が凍るような異常さ」は、階級を上げるための一場面に収まってしまった印象です。
あの説明のつかない恐怖が、スコアを競う数値的な物語に変換されてしまったことに、私は強い落胆を覚えてしまいました。

新キャラ登場による「溜め」の消失とインフレの予感
スーパーアッパー層・桃乃助の登場により、物語は一気に加速しました。
特に唸らされたのが、本来ヒーローであるはずの「桃」の名を持つ人物を、主人公・優太郎と対立するヒール役に据えた点です。
従来の桃太郎像を覆すこの設定には、強い衝撃を受けました。
桃乃助の周囲を「猿・雉」の苗字を持つ者が固めるなか、優太郎の相棒である「犬飼」までもが彼らに合流し、悪の「犬・猿・雉」が揃ってしまうのではないか……。
そんな今後の広がりを予感させる展開に、一気に引き込まれました。

しかし、この「強者」が早すぎる段階で登場してしまったことで、物語の大切な「溜め」が失われたように感じます。
もっとじっくりと監視社会の闇を深めてから、この最強のカードを切ってほしかった。
このペースで進むと今後さらなるインフレが起きるのではないかという懸念があります。
変化する立ち位置と、胸を打つ「真っ直ぐな言葉」
2巻では桃乃助という強大なキャラが登場したことで、優太郎がイエス・キリストのように神格化されていたカリスマ性は、相対的に薄まってしまいました。
しかし、そんな中でも私の心を強く繋ぎ止めたのは、優太郎の「天然的な真っ直ぐさ」が生み出す言葉の数々です。
階級社会に染まり、他人を見下す桃乃助に対して放った
「他人を見下してるてめえが…!!、大人であってたまるかよ…!!」という怒り。
そして、職業で人を判断する偏見を
「彼女達は人を笑顔にしてんだ…立派じゃねぇか…!!」と一蹴するリスペクト。
階級という「数字」に支配された世界で、人間の価値は職業やスコアではないと断言する彼の言葉には、魅力があります。
だからこそ、このピュアな存在が「階級上げ」という効率的な世界観のシステムに飲み込まれ、ありふれたキャラクターになってほしくないという、強い葛藤が残るのです。

まとめ
第1巻で「神を市民に落とす」という残酷な設定に震えた身として、第2巻での変化は受け入れるのに時間がかかるものでした。
私が2巻を最後まで読んだ上で、続きを追うのを躊躇している理由は、以下の3点に集約されます。
- 社会の不気味さよりも、ゲーム的な「階級上げ」が主題になったこと
- 桃乃助早期登場で、物語の「溜め」と先読みが消えたこと
- 優太郎の神格化は薄まったが、彼の「言葉」には今も救われること
私は今、3巻を手にとるべきかどうか立ち止まっています。
それは、1巻で味わったあの完璧な設定と、説明のつかない不気味な空気を、自分の中で一番綺麗な状態のまま留めておきたいからです。
しかし、これは決して失望ではありません。
かっぴー先生が描くこの物語が、いつかまた「大人階級」という枠を超え、あの不気味で魅力的な世界を再構築してくれることを願っています。
浦島優太郎が再び、私たちの理解を超えた「神」としての輝きを見せてくれる第3巻以降の進化を、心から期待しています。
おまろでした。


