【大人大戦 感想】20世紀少年を超えた?「神すぎる設定」と監視社会の恐怖

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どうも、ワードマイスターおまろです。

突然ですが、今の日本で生きていると、たまに息苦しくなることはありませんか?
誰かの失敗をみんなで叩き、スマホの画面越しに「正義」という石を投げ合う。
そんな現在の空気感を、あまりにも完璧に、そして残酷なまでに描き切った作品に出合ってしまいました。

少年ジャンプ+で連載されている『大人大戦』です。

私はこの作品を読んだ時、鳥肌が立ってしまいました。
ただの作り話と表現するにはリアル過ぎたからです。
一歩間違えるとこうなっていたのでは?と感じる不気味な未来が、そこにはありました。

おまろ
おまろ

以下の内容は、一部ネタバレを含みます。
予備知識を全く入れないで本作を読みたい方は、読後に記事を読むことをお勧めします。


【作品概要】『大人大戦』1巻とは、どんな内容なのか?

書名『大人大戦』1
著者名原作:かっぴー  作画 都築真佐秋
出版社集英社
発行年2025年6月4日
おいとま充実度4 / 5

物語の舞台は、ある特殊なSNSが普及した現代の日本です。
その名は、国家公認SNS「ガーデン」。
このシステムにより、国民のあらゆる行動は24時間365日監視され、不適切な行動をとる者は即座に排除されるようになりました。
そんな中、15年もの間、眠り続けていた少年・浦島優太郎が目を覚まします。
彼が目にしたのは、人々が互いに監視し合い、異様な「OKサイン」を送り合う、かつての日本とは似ても似つかぬ「楽園」でした。
SNSという名の巨大な檻の中で、浦島の生き残りをかけた戦いが始まります。

『大人大戦』1巻の展開が神すぎる理由3選

SNS監視社会の不気味な空気感の描き方がもはや神の領域

この物語の武器は、読者の心をざわつかせる「不気味な雰囲気」と、それを支える神がかった設定です。
国家公認SNS「ガーデン」が、一見すると世の中を良くしているように見えて、実は人間の自由をじわじわと奪っているからです。
この「善意による支配」の描き方が、あまりにも丁寧で不気味なのです。

想像してください。
国民全員が24時間365日監視され、道ゆく人々が「OKサイン」を出し合う社会を。
その光景は、とても不気味です。
物語の中で、SNSを悪用して目立とうとした配信者が、主人公に叩きのめされるシーンがあります。
正直に言うと、私はその瞬間「自業自得だ、スカッとした」と思ってしまいました。
でも、その直後にゾッとしたんです。
「自分も、この異常なSNS社会のルールに飲み込まれている」と。
今の日本でも起きている「一億総叩き」の怖さと素晴らしさを、これほどまでに見事に描いた作品を私は他に知りません。

この作品は、私たちがスマホを手放せない理由と、その代償として何を失っているのかを、鋭いナイフで抉り出すように教えてくれます。


浦島は現代の「トモダチ」か? 神として祀られる異様さ

主人公・浦島優太郎を「神様」として崇め奉る設定が、物語に圧倒的な深みを与えています。

この漫画を読んだとき、私は名作『20世紀少年』の「トモダチ」を思い浮かべました。
自分の意志とは関係なく、周囲が勝手に浦島を聖なる存在として祀り上げていく。
その宗教的な不気味さが、作品全体に不穏なオーラを纏わせているのです。

特に震えたのは、黒田議員の公設秘書が「浦島は神だ」と断言するシーンです。
15年間寝たきりだった彼が、まるでイエス・キリストのような容貌で描かれたとき、私は思わず息を飲みました。
浦島本人の「大人の基準」が少し分かりにくかったり、お父さんとの思い出が弱く感じたりする部分もあるかもしれません。
しかし、それは彼を「空っぽの神」として描くための緻密な計算でしょう。
周囲が勝手に彼を偶像化していく様子は、まさに今のネット社会の「教祖様」が生まれる瞬間を見ているようです。

浦島という存在を通して、私たちは「人はなぜ、これほどまでに誰かを神にしたがるのか」という人間の心の弱さを突きつけられます。

正直に言えば、浦島が語る「大人の基準」は、少し分かりにくく感じるかもしれません。
彼とお父さんの思い出も、他の漫画のような熱い絆とは少し違っていて、最初はなかなか気持ちが追いつかない部分もあります。
でも、その「掴みどころのなさ」こそが、この物語を特別なものにしています。


新機軸、神(市民)VS 権力という新しい対立構造

『大人大戦』の新しい部分は、神として崇められる浦島が「一介の市民」として権力と戦う構造にあります。

『20世紀少年』の「トモダチ」は、自ら世界の頂点に立つ神として君臨していました。
しかし、浦島優太郎はあくまで一般市民の立場にあり、彼を神として利用しようとする黒田議員という「国家権力」と対立しています。
このひねりが、物語を唯一無二のものにしています。

時事ネタの盛り込み方も見事です。
クラウドファンディングで資金を作ったり、妙な名前の政党が乱立したりと、現実の日本を皮肉る描写が散りばめられています。
そんな現実の中で、黒田議員が掲げる「大人けん法」という聖書と、生身の浦島がどうぶつかり合うのか。
犬飼記者の先輩が消された謎や、黒田の真の目的……。

ただのサバイバルでもなければ、超能力バトルでもない。
これは、現代の「信仰」と「政治」が激突する、全く新しいエンターテインメントなのです。


まとめ

今回の記事を簡単にまとめましょう。

『大人大戦』1巻のここがスゴイ!

・設定が神レベル: SNS監視社会の「気持ち悪さ」を、他に類を見ないほど丁寧に描き切っている。

・令和の伝説を感じる不気味さ: 主人公が「神様」として勝手に祀り上げられていく様子に、背筋が凍るような感覚を覚える。

・新しい対立構造: 神として担ぎ上げられた「一人の市民」が、巨大な「国家権力」に立ち向かう、これまでにない展開。

・現実とのリンク: クラウドファンディングや時事ネタが盛り込まれ、今の日本で本当に起きていることのような説得力がある。

『大人大戦』は、あなたが持っている「大人へのイメージ」を根本から壊してくれる劇薬です。

あなたは、それでも「OKサイン」を出し続けますか?
まずは第1巻。不気味な微笑みが並ぶ世界に、あなたも足を踏み入れてみてください。
そこから見える景色は、昨日までとは全く違っているはずです。

おまろでした。

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