【ご用心!】『クロサギ・セレクション』が入門書として最高、と言うには惜しい理由

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人生を変える漫画に出合いたい!
どうも、ワードマイスターおまろです。

突然ですが、みなさんは、ドラマや映画の原作は読む方ですか?
私は、かなり読みます!
ドラマや映画でその作品を初めて知った場合、原作をほぼ間違いなくチェックします。

その理由は、映像化するにあたって、省かれた場面や描き変えられた場面があるかどうか、映像ではわからない主人公の心情が気になるからです。

本日は、2022年に2回目のドラマ化の際に出版された『クロサギ・セレクション―詐欺から学ぶ現代社会の基礎知識―』について紹介します(今さら感がありますが・・・)。

因みに、私は、前回の山下智久さんが主演の「クロサギ」も、今回の平野紫耀さん主演の「クロサギ」も観たことがありません。

そんな私が、『クロサギ・セレクション』を読んだ感想をお届けします。

結論から申し上げますと、この『クロサギ・セレクション』は、「クロサギ」の入門書として「最高」と言うには、惜しいということです。

それでは、感想を紹介する前に、どのような物語なのか、簡単に説明しましょう。

本書の概要

書名クロサギ・セレクション―詐欺から学ぶ現代社会の基礎知識―
著者名原作:夏原武  作画:黒丸
出版社小学館
出版年2022年10月17日
おいとま充実度3.5 / 5

主人公は、詐欺師の黒崎という名の青年?です。
黒崎は、詐欺師をターゲットにした詐欺師、通称「クロサギ」です。
彼は、自分の父を詐欺に嵌め、一家心中に陥れた詐欺師に復讐するために、「クロサギ」となりました。

本書では、副題にもある通り、令和になった今でもはびこっている五つの詐欺の物語が収録されています。

次の章では、入門書として、良かった部分を理由とともに解説していきます。

入門書として良かった部分

入門書として、良かった部分は、以下の二点です。

  • 原作者の夏原武さんの取材力がすごい
  • 黒崎がシロサギ(詐欺師)を嵌めるまでの流れが丁寧に描かれている

まずは、夏原さんの取材力のすごさについて解説していきましょう。

本書には、五つの詐欺の物語があります。
「振り込め二重詐欺」「就職内定詐欺」「霊感商法詐欺」「デビュー詐欺」「闇サイト詐欺」です。
いずれの話も、被害者が詐欺にあうまでの流れがとても丁寧に描かれています。
徐々に詐欺にはまっていく過程がとてもリアルです。

「めちゃくちゃ怪しい」と疑いなくなりますが、当事者になると正常な判断ができなくなるんだろうなと想像してしまいます。

FILE 1の「振り込め二重詐欺」なんて、自分も普通に騙されてしまいそうです。

夏原さんの巻末のコラムも読んで、甘い言葉には罠があると改めて実感させられます。

  • 金銭を要求してくる案件は怪しい
  • 事故を起こしたとき、人が死んだときは正常な判断ができない
  • 「自分は特別」だと思わない

以上の三点は肝に銘じておきましょう。

おまろ
おまろ

これらの物語を読んで、みなさんも詐欺には十分に注意しましょう。

詐欺防止啓発マンガとしても、とても良い作品です。

つぎに、二つ目のポイントについて解説していきましょう。
黒崎は、そんな詐欺師たちから巧妙にお金を騙し取っていきます。
その過程も丁寧に描かれています。
シロサギが騙された時には、胸がスカッとします。
黒崎がシロサギを嵌める流れは、概ね共通しているところがあります。

  • 事前の情報調査
  • 相手の利益になることを提供する

二つ目は、相手と信頼感を築くための方法としては、詐欺師でなくとも見習う部分があります。
他にも、取り巻きの人物に自分を紹介させることで、ターゲットに近づいたり、信用しているその他大勢の人物の心を揺さぶったりと、シロサギを騙すための過程も毎回違うところも見どころです。

FILE 3の「霊感商法詐欺」の話では、自称霊能力者と黒崎が対峙する場面は、『TRICK』さながらでワクワクしました。

他にも、どのような詐欺があるのか、とても気になります。

惜しい理由

ここからは、個人的に「惜しい」と思った理由について解説していきます。

前述のように、物語の内容は申し分ありません。

しかし、個人的には以下の点が残念でした。

  • 物語の掲載時期がわからない
  • 登場人物の関係がわかりづらい

ここが、改善されるととても良い「入門書」になったのでは?と思います。

まず、「登場人物の関係がわかりづらい」についてです。
令和の現在でも存在している詐欺の話を掲載しているという性質上、人物の関係を深く掘り下げるようなエピソードはありません。
そのため、初見の私には、「何の時の誰のセリフやねん!」と思う場面が数か所ありました。

セレクションという構成上、仕方がない部分はありますが、初めて読む読者のためにマンガの冒頭に人物相関図を載せてほしかったです。
人物相関図があれば、このモヤモヤは少し解消されたのではないかと感じます。

次に、二つ目の「掲載時期がわからない」です。
「現行法に則って」という触れ込みがある以上、その作品が、いつ初出なのかわかるようにして欲しかったです。

読み進めていくと気付きますが、「FILE」によって、明らかに人物の描き方が違います。
また、収録されているのが、『クロサギ』『新クロサギ』『新クロサギ完結編』のどれかがわからないのも個人的にはマイナスポイントです。
これを機に、『クロサギ』を読もうとしている読者も出てくるかもしれないのに、とても残念です。

コラムもFILEとFILEの間に掲載されていなかったのも微妙に気になります。

黒崎の仕事の様に、丁寧な構成にして欲しかったですね。

まとめ

それでは、今回の『クロサギ・セレクション』についてまとめていきましょう。

本書には、五つの詐欺が紹介され、それぞれの詐欺について充実したコラムがあり、夏原さんの取材に驚かされる点、黒崎がシロサギを嵌めるまでの流れがワクワクする点において、非常に楽しめる内容でした。

また、詐欺に騙されないようにする啓発の意味でも、とても有益なマンガと言えます。

一方で、人物相関図や掲載時期の情報がないことで、この一冊で「クロサギ」の全てを楽しむためには、物足りない一冊となるでしょう。

そのため、「入門書」としては最高、と言うには惜しいとさせていただきました。

しかし、物語の内容や詐欺の手口を知る上では、読む価値があります。

気になった方は、実際に本書を手に取り、是非、黒崎のしたり顔を楽しんでみてはいかがでしょうか?

それでは、今回はこの辺で失礼します。
おまろでした。

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